日本語版ユーザーの不満

初心者泣かせ、一年使ってみて MMF2 にどんな不満を抱いたか


[ 2014年 一月 追記 : 解説 ]

時系列を整理して残しておきたかったから、この文章について解説を少し付けておきます。

  • MMF2 日本語版が発売されたのは 2009 年 12月。

  • MMF2 日本語版ガイドとして当ブログがスタートしたのはその一年後の 2011 年 01月から。

ここに残っている文章は、結構忠実に過去起こったことが主観も交えてですが詳細に記録されています。追記追記で内容をあまり消さずに書き足ししたため、読みづらい長い文章が整理もされていないのはそのせいです。

ブログ開設当初からこの「日本語版ユーザーの不満」という固定ページは公開されており、その後 2013 年 12月に CF2.5 が出るまでの約 3年間くらい、MMF2 英語版向けのアップデータ提供やらまず本家に動きがある度に、比較的正確な日付付きで当記事は追記・更新されてきました。

表題となった 日本語版 MMF2 への不満は「 日本語版として販売した代理店 」への不満という意味です。本家の開発者とは英語でメールやり取り等が可能だったため彼らの対応は基本的に迅速で、製品に関する本家のフォーラム及びサポートに不満はありません。

代理店というものを使って日本国内で製品販売したのだけは致命的なミスだったと思いますが、本家の開発者らは後に日本語版ユーザ向けには救済的なサポートを提供してくれました。そういった誠実な対応も含めてクリックチーム本家開発者およびサポートスタッフには素晴らしい製品を提供してくれたことに対して常に感謝をしています。ありがとうございました。

なお、本文中に登場する「 MMF3 」というのは MMF2 の次期バージョンと噂されていた製品のことです。最終的に 2013年の ClickConvention 2013 で発表された新製品は「 CF2.5 」で、名称もこれ以降 MMF ではなくなったため、現在では Fusion 3 という(現在開発中の)製品を指します。

アップデート
2010 年頃、 clickteam.com のフォーラムではユーザ向けの修正パッチやマイナーアップデートが定期的に提供されていました。ところが MMF2 日本語版には待てども待てどもアップデートは一切来ません。日本語版 MMF2 は R249 という英語版バージョンを元に日本語化対応(ユニコード対応)を施されたのですが、本家( www.clickteam.com )はその後順調にアップデートを重ねた結果、日本語版発売から一年後の 2011 年 1 月頃はすでに R250 のアップデータ公開後、次の R251 ベータ版の公開テストなどを行なっていました。R250 の時点で最新のバグフィックスも多数含まれていたのですが日本語版は後述するように一年経っても未だにヘルプファイルすら省かれたままアップデートもされない R249 状態で放置され、発売前は活動活発だった日本語版公式はその後まったく情報を出さなくなり、このままだと R250 は本当に日本でもアップデートが適用されるのか、あるいは継続的なサービスの提供が打ち切られるのではと製品購入者一同から不安視されていました。

最終的に日本語版には R250 パッチ提供は無く、2011 年 3 月初めに R251 アップデータが提供されたのが日本語版に来た初のアップデータとなったのです。

2013 年 5 月 20 日現在、英語版における公式の最新ビルドは R257.12、日本語版もオンラインアップデートを利用して R257.19 相当( HWA には未対応)にアップデートできます。

※ R257.19 について詳細記事はこちら

HWA (ハードウェアアクセラレーター)

MMF2 のグラフィックス処理はソフトウェアがデフォルトなのですが、描画で凝ったことをすればすぐに動作が重くなってしまいます。この弱点については近日 HWA が使えるようになるから今後は描画も高速だよ! って事前に聞いていたのでその当時 Pygame で遊んでいた筆者はダボハゼのように MMF2 (エサ) に喰らいついた記憶があります。

2011 年以前までは、「 HWA 」というものは MMF2 本体と機能的なマージ(統合)がされておらず、HWA が必要なユーザはベータ版の HWA をクリックチーム本家から別途ダウンロードして個別にインストールして使うというスタイルをとっていました。そしてやはり日本語版にも HWA が欲しいと思ってインストールを試みたこともあったのですが、しかし現実には、公開されていた HWA のインストーラが MMF2 日本語版と MMF2 英語版をしっかり区別しやがります。だからインストールができませんでした。

※現在では個別の HWA インストーラは存在しません

最初は事情が分からず一体何事かと思ったのですが、やがて本家で時間をかけながらフォーラムを読んでいくと少しずつ事情が分かって来ました。まず主な理由として HWA がユニコードに正式対応してなかった。そして次に開発のプライオリティ(優先順位)の問題で、当時の最新ビルドは R256 だったのですが、HWA のユニコード対応は後回しにされたまま 2012年も終わってしまったのです。そこで開発者に直接尋ねたらその返答で、今まで進展が無いわけではなく未対応のまま終わった R253 パッチ時点でも内部的には HWA のユニコード対応は少しづつ進んでいたのだとのこと。でも結局適用は見送られました。

※ R252 の発表前にも筆者はそんなこと言ってたのは内緒です
※ R256 が発表されたけど HWA はユニコード未対応だったので、この先があるかどうかは分からなくなりました。次期バージョンである MMF3 の開発も着実に進みつつあるようなのです。

日本語版あるいはユニコード環境で MMF2 を使う必要があるユーザにとっては HWA のユニコード対応が R256 という最新ビルドでも見送られた結果、現在発売中あるいは今後発売される各種エクスポーターの動作仕様には HWA 由来の機能制限(主にシェーダー関連だと言われている)が付いてしまうケースも認識する必要があります。ちなみに英語版 MMF2 の HWA は R252 で MMF2 本体と機能統合されたため、MMF2 英語版では HWA が標準機能の中から選択して使えるようになりました。それに伴い HWA の個別インストーラは完全に廃止とされています。

インストーラの問題:日本語版 MMF2 は英語版から派生した別バージョンです
ここで言うインストーラというのは本家で売ってるインストールクリエータ(略称 IC、あるいは ICP )というユーティリティソフトを使って作られた、主にサードパーティ製のエクステンションで使用されているバージョンチェック型インストーラのことです。このインストーラは日本語版ユーザーに取って大変やっかいな代物です。しかしエクステンションの作者さんが IC を使うのは一応意味があります。もちろん日本語版を弾くために使っているのではなく日本語版に適用されているユニコード対応とも関係があります。結論から言うと MMF という製品はこれまでユニコードに対応してなかった時代の方が圧倒的に長いので、ソフトウェアとエクステンション開発の歴史は古いけどユニコード対応するノウハウの蓄積はごく最近になってからの試みです。そして旧製品との互換性を元々大事にする ClickTeam は、ユニコードに対応した日本語版を MMF2 英語版とは異なる別製品として扱っています。

※別製品なので本家の各種ベータテストに参加できないし、本家のフォーラムから製品登録も利用できません。

日本語版発売当初( 2009年 )、日本語版開発のベースになった「 英語版 MMF2 の R249 」はユニコードに対応していません。そもそもMMF2 がユニコードに対応してないのでユニコードに対応させた別バージョンを英語版 MMF2 の R249 をベースにして作ったのが日本語版 MMF2 の R249 です。しかも日本語版はユニコード化 + メニューなどのローカライズも行ったので英語版をベースにしたけどバージョン管理などはまるっきり別物になっちゃいました。

※英語版以外だと独自にローカライズされた製品というのは MMF2 だとフランス語版と日本語版しかないのです。

MMF2 英語版 R249 + ユニコード化 + ローカライズ = MMF2 日本語版 R249なんですが、単純にバージョンが違うだけではなく本来の MMF2 が対応していないユニコードにも対応しちゃったのが一番の問題 ? です。日本語版はエクステンション導入にもユニコード対応確認が必要になっちゃいました。しかし長い間エクステンションは SDK でもユニコード対応が義務化されていませんでしたから前述の HWA のようにユニコード環境で動作保証が無いものもあります

エクステンションのユニコード対応は、 MMF2 開発者によると 2011年時点で約 95% のエクステンションがユニコード環境で動くから未対応は全体の 5% であるに過ぎないとのことです。ただしその数字には筆者は同意できなかったので、現状を持って 90% 以上対応済という統計的な数字はあまり意味が無いという反論はさせてもらいました。文字列扱えば問題が発生する率はもっと高いんですから、文字列扱わないエクステンションも含めて 90% 以上対応済という回答はトラブルを経験した側から言わせてもらうと無理があります。ただし MMF2 本体がユニコードには完全対応済なので、問題は分けて考える必要があるから、MMF2 の問題というより厳密にはユニコードに対応してない古い SDK と古い SDK を使っているエクステンション開発者に問題があると言えます。(もちろん開発者を責めることはできないけど)

MMF3 では最初からユニコード対応が義務化されているので、MMF3 専用のエクステンションが開発される場合にはこれら問題は起こらない予定です。

実際に比較的新しいエクステンションである「 Surface 」や「 XLua 」なんかも正式にユニコードに対応してないので日本語版 MMF2 からは事実上使えない機能もあります。また ClickTeam は旧製品との互換性を今までかなり大事にしてきました。実際にどれくらい大事にしてるかというと将来発売したい意向である MMF3 でも旧製品との互換性を維持するかどうかについてがいまだに話題になります。この旧製品との互換性には 10年以上前の CnC まで含まれています。ユニコード化してしまった MMF2 日本語版は、ClickTeam が守りたいと思って努力していた互換性から逸脱している存在のはずです。

ユニコードパッチを当てていない MMF2 英語版は MMF2 日本語版で作った mfa ファイルを開けません。開けないだけではなく、イベントのコピーやアクションのコピーなどにも対応できません。基本的に一方通行の互換性しか持っていないので、英語版のファイルを日本語版は開けるのだけどその逆は全く不可です。

結果だけ見るとインストーラを使用するタイプのエクステンションは日本語版 MMF2 にはインストできません。そして単にインストールすることができないだけではなく特定のエクステンションに依存してる別のエクステンションの動作サンプルまでエクステンション不足で動かなかったりバージョンチェック型のインストーラには足を引っ張られています。

ヘルプファイル

マニュアルは発売当初から日本語化されていたけれど日本語版 MMF2 には本来付属するはずのヘルプファイルが現在も付いていません。仕方なく発売当初などは本家( USA ClickTeam )から英語版 MMF2 体験版をダウンロードしてヘルプファイルだけを抜きだすという実に無駄な作業が必要でした。

その後、英語版ヘルプファイルの入手に関してはこのような無駄は必要なくなり、現在では MMF2 日本語版 Wiki のアップデータ情報ダウンロードリンク MMF2 Help English のページから TGF2 と MMF2 と MMF2 Developer の三種類のヘルプがダウンロード可能です。日本語版 Wiki (主に ASD さん)には大感謝です。

発売後一年以上が経過しましたが ClickTeam.jp から公式に公開された日本語版ヘルプファイルなるものは一切無く、非公式日本語版ヘルプファイルが個人の手で一旦作成されましたが元々未完成だったので、現在その補完作業が有志によって日本語版 Wiki 上で行われています。
ヘルプファイル和訳プロジェクト

2012年 七月追記:本家フォーラムでアップされていた R254 ベータ以降には一部日本語訳された英語版ヘルプが付属。ただし初期の付属ヘルプには英語版用のセクションと日本語版用セクション/二つのセクションがあらかじめ設けられてあるだけで、ヘルプファイルの日本語セクションには未翻訳のままの原文が載ってました。とりあえず英語版だけどヘルプファイルが標準で添付されるようになったのは日本語版ユーザーにとっては R254 アップデータ以降ということになります。現在 R255 でオンラインアップデータが利用できるから標準で一部日本語訳されたヘルプファイルが付属します。インベントリーの項目などいくつか記述が抜け落ちていますがある程度以上完成してます。

※ R255 についての詳細な記事はこちら


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