Construct 3 の年課金制度(その2)


Construct3 の年課金について、続き


参考:Construct 3 Official Information Thread

前回:どうなる?Construct 3 (C3)と年課金制度

新バージョンから年課金制度が検討されている Scirra の C3(Construct3)について、フォーラムユーザからの反応は総じて良いとは言えませんでした。

年課金は悪か?

悪かどうかはともかく、ツールとしての仕様とかをおさらいしながらもう少し C3 について考察を試みましょう。

C3 は HTML5 で動く 2D ゲーム用開発ツールとしていよいよブラウザで動作するアプリと成り、この結果ブラウザとして Google Chrome (ベータ版では Google Chrome のみだが将来的に FireFox も含まれる予定)が正常に動作する環境ならば OS を選ばないツールへと進化します。

例えば YoYoGames の GM:S も最初は「おれっちのエディタは Linux でもウゴクんだぜへぃいぇー:)」とかなんとか言ってたけど、販売が近づくと射精し終わった男性の如く賢者モードへ移行して「だれがつかうんやそんなもん」的真顔の対応になりましたが、ブラウザで動く開発ツールならば本当にブラウザさえ動けば OS 環境は選びません。

すくなくとも Mac と Windows で共通して動かせる仕組みがあるというのは強みになります。だから YoYoGames はコストかかっても Mac 対応は捨てなかったし、Scirra の場合は各 OS 用として別々に開発するわけではないので、開発の工数を増やさずに対応だけは増やすことができるという利点があります。

YoYoGames の GM:S も途中から真顔になったように、エディタの対応 OS を増やすというのはそれだけ検証や開発の人件費=開発コストがかかるということなので、小さな開発チームには荷が重いというわけ。この辺は今後登場する予定の Clickteam の F3 にも言えることなので、あるいは Scirra の選択は小さな開発チームが取るべき戦略としては至極まっとうなものと言えるかも、です。

後方互換性は維持

C2 と C3 のファイル(プロジェクトファイル)は互換性ありませんが、C3 には C2 のプロジェクトを C3 用としてインポートする機能があるため、 C2 で現在開発しているゲームを C3 へそのまま移行することも容易です。

C3 の販売が開始された後に C2 はバグフィックスやブラウザ上での動作互換性などメンテナンスを中心としたサポートとなり、機能の追加や改善は C3 へと注力され C2 はゆっくりフェードアウトする予定です。

C2 の頃にストアから購入したアセットも C3 で継続して利用できます。

オフラインモードを搭載

オンラインからログインが必要と成る一方、オフラインモードもサポートされているためインターネット接続が常時必要ではない。

開発環境が必ずしもオンライン接続している人ばかりではなく、意図的にネットワークへのアクセスを遮断するケースもあるためオフラインモードは必須。

あるいは開発側がオンラインのメリットをあげるけれど、利用する側はオフラインのメリットとオンラインをデメリットと感じる、この矛盾があります。

じゃあそろそろフォーラムで指摘されている問題点などをピックしていきましょう。

年課金

「百年使ったら100万円かかる」というのはネタですが、従来通り買い切りモデルが欲しいという要望がフォーラムでも多数出ています。

年課金制度は Adobe がこれを採用して以来、悪化していた業績を回復しており、ソフトウェアの買い切りモデルよりも収益性が高く企業にとってメリットが大きいようです。

しかし Adobe の場合には成功したけれど Scirra の規模でこれが成功するのか、彼らの抱えている顧客から一定数個人ユーザが離れるのは計算の内なのか、一部ユーザは実際に C3 を買わないとフォーラムで明言しています。理由は買い切りではなく追加コストがかかるから、です。

なお C2 からの移行先は Unity か GameMaker 、Fusion3 が名前も上がっており、これらに追い風来るかも。

GM:S の評価が買い切りというだけでグングンあがっていく現象について。

GM:S2 はクソインターフェースにクソノードベース(笑)、F3 は実質 CF25 だけどあれに期待するんか(藁)的、反応もありました。

注:F3 は実質 CF25 という批判は完全に的外れです。

年 99 ドルというコストについては、GM:S や CF25 の全エクスポータを買うのに比べれば決して高くはないという意見もあります。近年安売りが常態化している Steam や Humble でのセール価格を見なければ、確かにその通り。

動作遅い

ブラウザベースのアプリは近年、高機能なエディタや IDE が多数公開されています。そしてそれらに共通するのは動作がややもっさりしている=つまり遅い重い点。

Scirra のフォーラムでも C3 の仕様について、エディタの動作が重くなっている可能性が高いため魅力的に思えないという意見が散見されました。エディタとしてネイティブ動作する C2 は評価が高く、C3 が出ても C2 を使い続けるというフォーラムユーザの宣言も多く見ました。

フォーラムの反応とかを見ていると、Mac では Windows OS とそのアプリを動かす手法が確立されているから、Windows ネイティブのツールとして C3 が作られていたとしても、あまりユーザから失望はされなかったのではないかという気がします。

Linux ユーザ?石を投げても絶対当たらない確率の範囲内で主に大きな石の下とかで生息分布しているユーザの声なんて……

総評:C3 はブラウザベースの年課金アプリ

時代を先取りしているぜ!という意見もあるが、フォーラムユーザの多くは年課金に批判的。ブラウザベースであることについては、動作が重くなることを心配される。

そして機能的にはあまり注目されるものがなく、C2 の完成度が高いだけに C2 を使い続けるという意見も多数。

次は4月に出るというベータ版で実際にユーザが触れる機会まで、正確な評価は出しにくい状況のようです。